浮気のフラッシュバックが消えないと調べている方は、たいてい「もう終わったこと」の側にいます。話し合いは済んだ。相手は謝った。あるいは離婚も終わった。それなのに、通知音がひとつ鳴るだけで、あの日に見た画面がそのまま浮かびます。
夜に検索したのは、たぶん昼間は出ないからです。人と話している間は忘れていられて、静かになった瞬間に戻ってくる。そして「わたしだけがまだ壊れたままだ」と思う。
この記事では、消えない状態を3つの型に分けて、型ごとに打つ手を変える書き方をします。時間が足りないのか、記憶がまだ更新されていないのか、医療の領域なのか。ここを分けないまま「時間が解決します」と言われても、あなたが今夜やることは1つも決まりません。
もうひとつ、症状の記事にはあまり出てこない話を後半に置きました。心療内科や精神科でもらう診断書は、治療のためだけの紙ではありません。不貞をめぐる請求の場面では、精神疾患の発症が慰謝料の増額要素として考慮されます。そして請求できる期間には、民法724条の3年という区切りがあります。
先に断っておくと、この記事は全員に事実を調べ直すことを勧めません。調べても症状が軽くならない条件のほうを、最後の章にはっきり書いています。当てはまる人は、そこで降りてください。
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浮気のフラッシュバックが消えないのは、記憶がまだ更新されていないから
先に、いちばん誤解されている点を書きます。フラッシュバックが続くことは、あなたが引きずりやすい性格だからでも、まだ愛しているからでもありません。記憶の側の状態で決まります。
侵入してくる記憶には共通の特徴がある
強い出来事のあとに侵入的な想起が続く仕組みについては、EhlersとClarkが2000年に出した認知モデルが臨床でよく使われています。そこで指摘されているのは、記憶そのものの強さではなく、記憶の収まり方です。
先に注意書きを入れます。これは心的外傷後ストレス障害を説明するために作られたモデルで、後の章で書くとおり、配偶者の不貞の発覚はその診断要件には入らないことが多くなります。ここでは診断の話としてではなく、思い出そうとしていない記憶が勝手に再生される現象そのものの説明として使います。
普通の記憶は、いつ・どこで・何があって・そのあとどうなったか、という前後関係のなかに収まっています。だから思い出そうとしたときにだけ出てきます。ところが、前後関係に収まりきらなかった記憶は、断片のまま感覚と直結して残ります。匂い、音、時刻、車種、店の名前。そういう手がかりに触れた瞬間、思い出そうとしていないのに再生されます。
このモデルでは、その状態を維持してしまう要因が3つ挙げられています。記憶が前後関係のなかに整理されていないこと、出来事や自分についての否定的な評価が固まっていること、そしてそれを避けようとする行動そのものが更新を妨げること、の3つです。
3つ目が、この記事でいちばん伝えたいところです。苦しさを減らそうとしてやっていることが、消えない状態を長引かせている場合があります。
確認行動は、その夜の不安だけを下げて記憶を止める
浮気が発覚したあと、多くの人が同じことを始めます。相手のスマホを見る。位置情報を開く。帰宅時間を数える。SNSの更新時刻を確かめる。深夜に過去のやりとりをもう一度読み返す。
これらは全部、その瞬間の不安を下げます。見て、何もなくて、少し息ができる。だからやめられません。ただ、翌日にはまた同じ不安が戻ってきます。安心が更新されないからです。
確認して安心した人の頭のなかには、「確認したから大丈夫だった」という記録しか残りません。「確認しなくても大丈夫だった」という記録は一度も作られない。だから、確認をやめた瞬間に元の不安がそのまま出てきます。何年たっても同じ強さで出てくる人がいるのは、経過した年数が短いからではなく、この記録が一度も作られていないからです。
ここは意志の強さの話に見えて、実際には設計の話です。やめようと決めるのではなく、後半で書くように枠に入れるほうが現実的です。
空欄が残っている記憶ほど、勝手に再生される
もうひとつ、前後関係に収まらない典型的な理由があります。そもそも前後関係が分かっていない場合です。
いつから始まっていたのか。相手は誰なのか。何回会っていたのか。どこで終わったのか。今はどうなっているのか。このうち一つでも空欄が残っていると、頭はその空欄を埋めようとして、手持ちの断片を何度も再生します。同じ場面が繰り返し浮かぶのは、記憶が壊れているからではなく、まだ完成していないからです。
ここが、症状の話と事実の話が繋がる地点です。相手が「もう終わった」と言っただけで、あなたの側にそれを確かめる材料が何もない場合、その一文は空欄のままです。空欄のままの記憶は、時間では埋まりません。再構築を選んだのに苦しさが戻ってくる原因としても、この空欄は最初に確認すべきところです。
フラッシュバックが続く状態は、3つの型に分かれる
「消えない」とひとまとめにすると、どの助言も自分の話に聞こえません。読むたびに違うことが書いてあるように見えるのは、書き手ごとに別の型を前提にしているからです。まず自分がどれかを決めてください。
型1:事実に空欄が残っている
相手の説明だけで話が終わっている人です。「一回だけだった」「もう連絡していない」「向こうから誘われた」。この3つは、いちばんよく出てくる説明で、いちばん検証されていない説明でもあります。
型1の見分け方はひとつです。浮かんでくる場面が、毎回「分からない部分」で止まるか。ホテルの前まで浮かんで、そこから先が想像になるなら型1です。想像は毎回作り直されるので、何度再生しても終わりません。
型1にカウンセリングだけを当てても、進みにくいことがあります。埋める材料が本人の中にないからです。
型2:事実は分かったが、確認行動が習慣として残っている
いつから誰と何をしていたかは、すでに把握できている。相手も認めた。それでも、帰宅が20分遅れると心臓が鳴る。スマホを伏せて置かれると手が止まる。
この型では、フラッシュバック自体よりも、そのあとに続く確認のほうが生活を削っています。1日に何回スマホを見るか、何分ぶん検索に使っているか。数えてみると、想像より大きい数字が出ます。
型2に必要なのは新しい情報ではありません。確認しなくても大丈夫だったという記録を、少しずつ作ることです。手順は後半に書きます。
型3:事実も行動も片づいたのに、生活が回らない
事実は確定していて、相手との関係も決着していて、確認行動もほとんどない。それでも眠れない、食べられない、仕事に行けない、涙が止まらない。
型3は、情報でも工夫でもなく医療の領域です。ここで自力の対処法を探し続けると時間を失います。受診の線引きは次の次の章に具体的に書きました。
なお、型は混ざります。型1と型3が同時にある人はめずらしくありません。その場合は型3を先に扱ってください。生活が回っていない状態で事実を掘ると、出てきた情報を受け止めきれなくなります。夜中に不安が強くなって眠れない状態が続いているなら、順番は迷わなくていいです。
それは本当にPTSDなのか|診断名の正確な話
「浮気 PTSD」で調べた人も多いと思います。ここは正確に書きます。読んで突き放されないよう、結論から言うと、診断名が何であっても、あなたの症状の重さは変わりません。
症状が同じでも、原因の種類で診断名が変わる
現在の診断基準では、心的外傷後ストレス障害と適応障害は同じグループに置かれています。日本精神神経学会の解説では、両者の分かれ目がはっきり整理されています。
症状の並びが心的外傷後ストレス障害の基準を満たしていても、原因となった出来事のほうが診断要件を満たさない場合は、適応障害と診断されるという整理です。心的外傷後ストレス障害の側は、生命の危険を感じるような出来事を要件としているため、配偶者の不貞の発覚は、症状がどれだけ重くてもこの要件には入らないことが多くなります。
だから実際の診療では、適応障害、うつ病、不安症といった診断名がつくことのほうが多くなります。フラッシュバックという言葉を使っても、診断名がPTSDになるとは限らない、というのが正確なところです。
もうひとつ、時間の目安があります。適応障害では、症状が出るのは原因となった出来事から3か月以内とされています。発覚から半年、1年と経ってから症状が強くなった場合は、発覚そのものではなく、そのあとに続いた状況が原因として見られることがあります。この違いは受診のときに医師が確認するので、発覚した日付と、症状が出はじめた日付を分けて説明できるようにしておくと話が早いです。
持続の側にも目安があります。適応障害は、原因となった状況とその影響が終わったあとは、症状がさらに6か月以上続くことはないとされています。つまり1年たっても同じ強さで続いているなら、原因がまだ終わっていないか、別の診断で見たほうがいい状態のどちらかです。どちらであっても、自分の粘りが足りないという話にはなりません。前者なら事実に空欄が残っている可能性があり、後者なら受診する理由になります。
「PTSDではない」は「軽い」という意味ではない
ここを誤解すると、受診をやめてしまいます。診断名は苦しさの大きさを測る目盛りではありません。原因の種類と症状の並びから、どの治療が合うかを決めるための分類です。
そして後半で書くとおり、慰謝料の場面で見られるのも「PTSDかどうか」ではありません。精神的な不調が実際に生じたことと、それが不貞と結びついていることです。診断名がうつ病でも適応障害でも、この2つが示せるかどうかで扱いが変わります。
受診する線引きと、実際にかかるお金
「病院に行くほどではない気がする」と書かれた検索履歴を持っている人は多いと思います。行くかどうかで迷い続けること自体が、生活の時間を削っています。線を引きます。
この3つのどれかが2週間続いたら受診する
症状の強さは自分では測れません。測れるのは、生活が回っているかどうかです。次の3つは、気持ちの問題ではなく機能の問題なので、自己判断がききます。
- 睡眠:寝つけない、途中で起きて戻れない日が週の半分以上ある
- 仕事や家事:休んだ、遅刻した、明らかに手が止まる日が増えた
- 食事:食べられない、または食べ方が明らかに変わった
どれか1つでも2週間続いているなら、それは型3です。もう情報を集める段階ではありません。
加えて、消えたいという考えが浮かぶ日があるなら、2週間を待たずに動いてください。夜間で医療機関が開いていない時間なら、厚生労働省のこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)があります。かけた場所の自治体の相談窓口につながる全国共通の番号で、対応する曜日と時間は地域によって違います。つながらない時間帯でも、翌日に受診の予約を取る前提で、まず番号を控えておいてください。
何科に行き、初診で何を話すか
精神科か心療内科です。どちらでも構いません。眠れないことが中心なら、かかりつけの内科から紹介してもらう入り方もあります。
初診は時間が短いことが多いので、話す内容を先に紙かスマホのメモにしておくと、伝え漏れが減ります。整理する項目は次の5つです。
- 出来事があった日(発覚した日)
- 症状が出はじめた日
- 今の症状(眠れない、動悸、場面が浮かぶ、など)
- 頻度(週に何回、何時ごろ)
- 生活への支障(休んだ日数、できなくなったこと)
不貞の詳しい経緯まで話す必要はありません。医師が必要としているのは、出来事の内容そのものより、いつ・どれくらい・生活がどう変わったかです。言いたくないことは言わなくて構いません。
家族や友人に打ち明けるかどうかで止まっている人は、先に医療機関という選択肢を使うほうが早いことがあります。誰に相談するかで迷う場面では、守秘義務のある相手を先に選ぶという考え方があります。
通院費は自立支援医療で1割になる
通院が続きそうなときに使えるのが、自立支援医療(精神通院医療)です。精神疾患で継続的に通院する人の医療費の自己負担を、原則1割まで引き下げる制度です。さらに、世帯の市町村民税の課税状況に応じて、1か月あたりの自己負担上限額が設定されます。
申請先は、住んでいる市区町村の担当窓口です。特別区では保健所や保健センター、市町村では障害福祉の担当課が窓口になります。必要なのは支給認定申請書と、申請日から3か月以内に作成された自立支援医療用の診断書です。更新のときの診断書は2年に一度で足ります。
ひとつ注意があります。初診の当日から窓口負担が1割になるわけではありません。申請してから受給者証が届くまでに3か月程度かかることがあります。有効期間の開始日は窓口で申請を受け付けた日になるので、さかのぼって扱われますが、その間の支払いをどうするか(申請書の控えを見せて1割にするか、いったん払って後から還付を受けるか)は医療機関や自治体によって対応が違います。申請したときに、通っている医療機関と薬局の両方で扱いを聞いておいてください。
この制度を知らずに、3割負担のまま通院を途中でやめてしまう人がいます。診察と薬で毎回数千円かかるとして、それが1割になるかどうかは、続けられるかどうかに直結します。初診のときに「通院が続きそうなら自立支援医療を考えたい」と伝えておくと、診断書の話がスムーズです。
診断書には、治療以外にもう一つの意味がある
ここからは、症状で検索してきた人がまず読まない領域の話です。読んだうえで使わないと決めても構いません。ただ、知らないまま期限が過ぎるのはもったいない。
精神疾患の発症は慰謝料の増額要素として考慮される
不貞行為をめぐる慰謝料では、精神的な苦痛が医学的な診断として形になっている場合、それが損害の一部として評価され、増額の要素として考慮されます。うつ病でも適応障害でも同じで、診断名がPTSDである必要はありません。通院にかかった治療費が、慰謝料とは別の実損害として認められた例もあります。
ただし、診断書があれば自動的に増える、という単純な話ではありません。見られるのは不貞と発症の結びつきです。ここで効いてくるのが時間の近さで、発覚から発症までが近いほど、結びつきは認めてもらいやすくなります。
実務上、診断書にあると意味が変わるのは次の3点です。作成を頼むときは、この3つが入るかを医師に確認してください。
- 病名
- 発症の時期(不貞の発覚時期との前後が分かる形で)
- 強い心理的ストレスが原因と考えられる旨の記載
言い方としては、「診断書を書いてもらうことになるかもしれないので、いつごろから症状が出たかを記録に残しておきたい」で足ります。医師に請求の意図を細かく説明する必要はありません。
ただし、証拠がなければ請求そのものが立たない
ここが順番の話になります。診断書は、不貞があったことの証拠にはなりません。示せるのは、あなたの側に生じた損害の大きさだけです。
そして、不法行為に基づく損害賠償の請求権は、民法724条1号により、損害及び加害者を知った時から3年で時効にかかります。相手が誰かも分かっていて、事実も分かっているのに動かないまま3年が過ぎると、増額要素をいくら積んでも請求できる枠自体がなくなります。フラッシュバックに耐えていた期間も、この3年のなかを進みます。
逆に言えば、相手が誰なのか特定できていない場合、その相手に対する時効はまだ動き出していないと整理されるのが一般的です。証拠がない状態で相談していいのか迷っている段階なら、まずそこの整理から入って構いません。
今夜からやめる確認行動と、代わりに置くもの
ここは型2の人向けです。型1・型3の人も、並行してやって損はありません。やめようと決意する方法は書きません。続かないからです。
確認をやめるのではなく、時間の枠に入れる
ゼロにしようとすると、たいてい3日で戻ります。代わりに、確認していい時間を先に決めます。たとえば「夜21時から10分だけ」。その枠の外で確認したくなったら、我慢するのではなく枠まで持ち越すと決めます。
これがなぜ効くかというと、確認しないまま時間が過ぎて、それでも何も起きなかった、という記録が1日1回作られるからです。前半で書いた「確認しなくても大丈夫だった」という記録が、ここで初めて積まれます。
初日は減らさなくて構いません。1日目は、今の自分が何回確認しているかを数えるだけにしてください。回数が分からないまま枠を決めると、たいてい実際より厳しい数字を置いてしまい、2日で崩れます。
翌日以降の枠は、数えた回数より1回だけ少ないところから始めます。1日3回・各10分あたりに落ち着く人が多いですが、出発点は人によって違って構いません。そこから2週間ごとに1回ずつ減らすくらいでちょうどいいです。減らせなかった週があっても、その週の回数を維持すれば前進です。
浮かんだ場面は、頭の中でなく紙に出す
フラッシュバックが来たとき、頭の中で反論したり、追加の推理をしたりすると、そのぶん記憶に新しい断片が足されます。やることは1つで、外に出すことです。
書く内容は3つだけで足ります。日付と時刻、直前に何があったか(音・場所・相手の言葉など)、浮かんだ場面。感想や評価は書かなくていいです。
2週間ぶん溜まると、引き金がかなり偏っていることが見えてきます。特定の時間帯、特定の曜日、特定の音。引き金が分かると、それを避けるのではなく、その時間に予定を入れるという対処ができるようになります。そしてこの記録は、受診したときにそのまま説明の材料になります。
眠れない夜に、検索だけはしない
深夜の検索は、確認行動のなかでもいちばん強く記憶を刺激します。出てくるのは他人の体験で、しかも自分より重い話か、自分より軽い話のどちらかです。どちらを読んでも、比べる材料が増えるだけで、あなたの記憶は更新されません。
眠れないときは、明かりを落とした部屋で、内容のない音(ラジオ、雨音、意味の分からない言語の番組)を小さく流すほうが現実的です。眠ろうと努力するより、起きている時間の刺激を下げるほうが早い。
それでも眠れない日が週の半分を超えているなら、対処ではなく受診の段階です。前の章の3つの線に戻ってください。
事実を確かめたほうがいい人・確かめなくていい人
最後に、いちばん判断が難しいところを書きます。ここまで読んで型1だった人は、空欄を埋める方法を考えることになります。ただ、全員がやるべきことではありません。
確かめなくていい人の条件
次のどれかに当てはまるなら、調べても症状は軽くなりません。費用は治療のほうに回してください。
- いつから・誰と・今はどうなのか、が全部埋まっている(型2)
- すでに離婚もお金の話も終わっていて、請求する予定がない
- 生活が回っていない(型3)。この状態で新しい情報を入れると悪化する
- 相手を特定できていて、知ってから3年をすでに過ぎている
とくに3つ目は、順番を間違えやすいところです。眠れない状態で調査結果を受け取っても、受け止める体力が残っていません。
確かめたほうがいい人の条件
逆に、次に当てはまるなら、空欄を埋めることに意味があります。
- 「もう終わった」の根拠が、相手の言葉しかない
- 浮かんでくる場面が、毎回分からない部分で止まる(型1)
- 慰謝料を請求するかどうかを、これから決める
- 知ってから3年の期限が近づいている
ここで重要なのは、結果が何も出なかった場合にも意味がある、という点です。関係が続いていないと確認できれば、それが確認行動をやめる根拠になります。前半で書いた「確認しなくても大丈夫だった」の、いちばん強い版です。
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よくある質問
- 浮気のフラッシュバックは、何年くらいで消えますか?
-
年数で決まるものとして考えないほうがいいです。経過した時間より、事実に空欄が残っているか、確認行動が続いているかで変わります。同じ3年でも、空欄があるまま確認を続けた3年は、ほとんど進みません。目標を年数に置くと、その日が来たときに終わっていないことで二度傷つきます。
- 相手はもう普通に暮らしているのに、自分だけ苦しいのはなぜですか?
-
相手の側には、いつから何をしていたかの記憶が全部そろっているからです。空欄がないので、思い出そうとしないかぎり出てきません。あなたの側だけ空欄が残っていて、頭がそれを埋めようとして再生を繰り返している。差が出るのは感受性の違いではなく、持っている情報量の違いです。
- 病院に行くと、家族や職場に知られませんか?
-
受診したこと自体が職場や家族に通知されることはありません。医師には守秘義務があります。健康保険を使うと、加入している健康保険組合から医療費の通知が届く仕組みがあり、そこに受診した医療機関名が載る場合があります。同居家族と同じ被保険者証で、通知の宛先が本人以外になっている場合は、送付先の扱いを保険者に確認しておくと安心です。
- 「浮気のPTSD」という診断名はもらえますか?
-
その名前の診断名はありません。症状が心的外傷後ストレス障害の並びに当てはまっていても、原因となった出来事のほうが診断要件を満たさない場合は適応障害として診断される、というのが日本精神神経学会の解説にある整理です。実際には適応障害・うつ病・不安症といった診断名になることが多くなります。診断名が変わっても、治療も、慰謝料での扱いも、それだけで軽くなるわけではありません。
- 今さら調べても、もっと苦しくなるだけではないですか?
-
その心配が当たる人はいます。生活が回っていない状態(睡眠・仕事・食事のどれかが2週間以上崩れている)で新しい情報を入れると、受け止める体力が足りません。その場合は受診が先です。逆に、生活は保てていて「もう終わった」の根拠が相手の言葉しかない人は、調べたほうが確認をやめられます。順番の問題であって、良し悪しの問題ではありません。
- 診断書は、いつ・どのタイミングでもらえばいいですか?
-
用途で分かれます。通院費を1割にする自立支援医療用の診断書は、申請日から3か月以内に作成されたものが必要なので、申請する時期に合わせて頼みます。慰謝料の場面で使うものは、症状が続いている間に、発症時期が分かる形で書いてもらうほうが結びつきを示しやすくなります。どちらも、通院を始めてすぐより、ある程度経過が記録されてからのほうが内容が具体的になります。
まとめ|消えないのは、記憶がまだ完成していないから
フラッシュバックが続いているとき、多くの人は自分の弱さを疑います。けれど実際に起きているのは、記憶が前後関係のなかに収まっていないことと、収まるのを妨げる確認行動が続いていることの2つです。どちらも性格ではありません。
型1(事実に空欄がある)なら、空欄を埋める。型2(確認行動が残っている)なら、確認を枠に入れて「確認しなくても大丈夫だった」という記録を作る。型3(生活が回っていない)なら、対処法を探すのをやめて受診する。混ざっているなら型3が先です。
今日やることを1つだけ選ぶなら、次にフラッシュバックが来たときに、日付と時刻と直前に何があったかをメモに残すことです。2週間ぶん溜めれば、引き金が偏っていることが見えます。受診するときには、その記録がそのまま説明になります。
そして、「もう終わった」の根拠が相手の言葉しかない人は、そこだけ先に埋めてください。何も出なければ、あなたはようやくスマホを見に行かなくて済みます。
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